"Live to Work" or "Work to Live"

思い立ったら飛ぶ!飛び込む!医学部底辺徒然草

「飛び恥」の出現に対し、飛行機愛好者はなにを思うべきなのか

スポンサーリンク

 

 飛び恥の出現


とんでもなく若い1人の少女が、世界を動かしている。

私もこの業界ではかなり若いとちやほやされる方だが、この少女は私よりも5歳以上も年下のに世界をドラマチックに動かしている。
 
言わずと知れた、グレタさんのことである。
 
 
彼女については賛否両論ある(そして賛否両論あってしかるべきだと私も思う)が、彼女が世界に対して大きなインパクトを与え、世界を変えつつある事はやはり一定の評価に値するだろう。
 
そんな彼女は力強く「環境保全」を訴え、それに沿った行動をしないアクターへは語気を強めていたところ、思わぬ形で私たちにも飛び火することになっているのである。
彼女は、国連総会に発表するために、大西洋をわざわざ飛行機を使わず、ヨットで横断している。それは、飛行機がとても燃費が悪く、環境を破壊していると言う信念に基づいているそうだ。
 
 
すなわち、私たちがこよなく愛する飛行機が、環境破壊を進める悪しきものとして非難されているのである。
 
彼女に共感し、飛行機に乗るのをためらう人のことを、以下の記事では「飛び恥」として紹介している。
一応私たちが「恥」だとされているわけではないようだ。
 
記事によれば、そんな彼女に対して、まず共鳴した航空会社はKLMオランダ航空なのだそうだ。オランダ航空では、短距離路線に対して飛行機ではなく、なんと鉄道を利用するようにと呼びかけ始めている。
 
これも虚構新聞ではなく、実際にCEOが発した言葉である。航空会社が鉄道を利用しろと明言しているのは極めて異例なことであろうと思われる。
 

ここまでくるとなると、私たちも確かに無責任であるといえないのかもしれない。とはいえ、心にひっかかるものもいくつかなくはないので、少し考えてみようと思う。
 
 

どこに価値を置くのか?

 
私も、東京から大阪の間での移動を含め、
飛行機が飛んでいるところであればどこであれ飛行機を利用するような、
こよなく飛行機を愛する者の1人である。
 
そんな私は、このグレタさんに対しては、さぞかし悪者に写っているのであろう。しかしながら、私もここで1つ申し上げたいことがある。
 
それは、飛行機に乗るという行動は、
単に「移動」を意味するだけではなく、1つの「体験」なのである、
ということである。
 
私たちが飛行機のチケットを発券するのは、それを通じた体験を入手しているのと同義なのである。
 
まず初めに、ウェブをいろいろと探したり、電話を掛けたりしながらお目当ての飛行機を探す。
チケットが確保できたとなれば、搭乗するまでワクワク感が続く。
当日になればウキウキしながら空港に到着。
ラウンジでゆっくり過ごしたり、飛行機の写真を撮ったり、お土産を買ったりしながら、ゆっくりと各の時間を過ごす。
満を持していざ飛行機に乗り込む。
いつものアナウンスや安全のビデオに気をとられていれば離陸なんてすぐ。
そこでまた、どこで使うのかもわからない空の上からの窓からの写真を撮り、コーヒーやコンソメスープをすすりつつ悦に浸るのである。

 
これら全てが私たちにとっては大事な「体験」であり、私たちは決して単に移動するためにお金を払っているのではない。
 
いわば私たちにとっては、飛行機に乗ることが、
他の人たちが映画に行ったり、遊園地に行ったり、ゴルフに行ったりするようなその他のレジャーと全く一緒なのである。
 
私の場合は、飛行機そのものが大好きであり、移動という手段が目的と化している場合も多々あるわけである(断言)。
 
つまり、無駄に燃料を燃やして移動をしたいわけではなく、飛行機に乗るということそのものに対して価値を見出しているということを明言したかったわけである。
 
次元は全く異なるが、私たちが飛行機に乗るのは、どちらかといえば、電車で通学・通勤しているというよりも、前沢さんが宇宙に行こうとしているのと同じようなマインドセットであるともいえるかもしれない。
 

ただ開き直るのもいかがなものか

 
とはいえ、これが私が地球の破壊に加担していると言うふうに捉えられてしまうことに対して、何の反論にもなっていない。逆に認めているぐらいだ。
 
ただ、1つ言えるのは、
環境規制が強まっていったりすることで、私たちが飛行機に乗れなくなるということになるのが、一番困るということである。
 
そう考えると、逆説的だが、私たちも、環境保全に対して、一定の責任を負うべきなのではないかと言う風にも考えられるようにも思う。
 
「でも結局、オレ1人が乗らなくたって、みんな飛行機乗るんだったらどーせ飛行機は飛ぶんだから燃料消費してることにかわんなくね?」
 
「オレ1人が環境に対して何かを考え始めても、何も始まらないし全然インパクトないし」
なんて考えているのは尚早なのではないかと思う。
 
 
考えてみれば、私たちは飛行機に乗ることによって、多くの人たちがつながってきた。
 
ネット上ではいろいろなコミュニティが形成されていて、もはやこれは飛行機搭乗者の一大コミュニティととらえてもあながち間違いではないだろう。
 
私たちがこよなく愛する飛行機に対して「真の優良顧客」であり続けるためには、
飛行機が持続可能な運航を続けることができるように、
航空会社に対して私たちも協力するのが筋なのではないだろうか。
 
私たちが末永く飛行機を愛するためにも、
この体験を常に享受できるようにするためにも、
私たちの体験が環境への影響を最小限のものにとどめられるように
工夫を考え続けるのも重要なのではないだろうか。
 
例えばだが、持ち込んだり預けたりする荷物を1キロ減らすだけでも、全員がそれをすれば飛行機の燃費はおそらく上がる。目に見えない小さな取り組みを、乗客である私たちも考えていくべきなのではないだろうかーー
 
そんなことを考えながら、また予約画面をクセのように開くのである。