フランクスターリングの法則から見るショック動態
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生理学で学ぶ心機能の大切な原理として、「フランクスターリングの法則」をよく学ぶかと思います。
今回は、こちらの原理を利用して、ショックの動態について考えてみたいと思います。
フランク・スターリングの法則とは
フランク・スターリングの法則は、心機能に関する生理学の法則です。
「筋肉は伸びるほど収縮力が上がる」という原理を心臓に当てはめたことによる法則で、
前負荷が大きいほど、心拍出量が上がる
という原理が導ける、というものです。
もちろんもっと細かい説明もあるのですが、あくまで原理なのでとりあえずこの辺りはしっかりと抑えましょう。
この法則をグラフで示すと、次のようになります。
今回、縦軸を心拍出量、横軸を中心静脈圧としています。
心拍出量は中心静脈圧(前負荷)に応じて上がっていくわけですね。
ただもちろん上限があるので、次第にプラトーに達します。
ここに、静脈還流量を別途重ね合わせてみます。
この静脈還流量で、この心機能であれば、この星の部分が心拍出量となるわけですね。
このグラフを使って、ショック動態について考えてみたいと思います。
フランク・スターリングの法則からみるショック動態
それでは、それぞれのショック動態をこのグラフを用いて表現してみたいと思います。
心原性ショック
心原性ショックでは、前負荷が増えるにも関わらず、心拍出量が低下する病態でした。
このときの変化は、下図の赤い星で示されます。
心機能が落ちることによって、前負荷に反応していない病態となるわけです。
敗血症性ショック
血液分布異常性ショックに分類される敗血性ショックは、次のように示されます。
前負荷は下がったけど、心拍出量が上がっている状態です。
出血性ショック
出血性ショックは、次のように示されます。
心拍出量、中心静脈圧がともに低下します。
外傷などで、これを補うために心拍数があがるんですよね。
血圧が下がって、心拍数があがる「ショックバイタル」になります。
生理から整理する
というわけで、フランクスターリングの法則という生理学の法則を用いて、ショック動態について考えてみました。
それぞれのショックの分類などについては、以前の投稿をご参照ください。
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参考文献
E Staff. Key Medical and Nursing Facts and Mnemonics: Study review notes for Nurings and Health Sciences Students. Examville Study Guides
小澤瀞司, et al. "標準生理学." (2009): 659-663.