医療従事者からの「良心的な発信」の必要性を考える
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新型コロナウィルス(COVID-1)への岩田健太郎教授のブログを深読みする
本投稿は、所属団体などの意見とは異なる個人の見解です。
神戸大学医学部にて感染症の教鞭をとられている岩田健太郎教授が、今回の新型コロナウィルスの対策について非常に重要な見解をブログにて示されました。
少し本文としては長いので、岩田医師がご自身でされていたまとめを引用します。
1.風邪をひいたり体調を崩したら家で休む。社会もそれを許容する。
2.しんどくなったらマスクを付けて速やかに病院を受診する。しんどくなければ必須ではない。しんどさの基準は個人差があるので個々の判断で。
3.自宅に家族がいれば、病気の人はマスクを付けて、神経質に何かに触るたびに手指消毒をする。何度でも。
4.仕事や学業を効率化する。人が集まらねばならない会議は最小化してメールでできること(特に連絡事項)はすべてメールやチャットなどでやる。自宅でできる仕事も自宅でやる。
5.医療リソースと公衆衛生リソース(役所含む)を大切にする。モノと人。マスクを無駄遣いしない。人も無駄遣いしない。すぐに病院に駆け込まない。「何かあったらすぐ病院に」と勧めない。夜中の記者会見など無駄なことはしない。というか、記者会見もチャットでやるといい、昼間に。
今回はこちらについて、私が特に注目したポイントを捕捉します。
医学的資源は有限
これらの岩田石の主張は、格別に新しいことを語っているわけではないかと思います。
しかしながら、注目すべきは5番目の項目ではないでしょうか。
特にこの部分。
5.医療リソースと公衆衛生リソース(役所含む)を大切にする。モノと人。マスクを無駄遣いしない。人も無駄遣いしない。すぐに病院に駆け込まない。「何かあったらすぐ病院に」と勧めない。夜中の記者会見など無駄なことはしない。というか、記者会見もチャットでやるといい、昼間に。
少し首をひねった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一見、病院に早く駆け込むほうが、早めに必要な治療へとたどり着くことができ、メリットが大きいように感じられるかもしれません。
しかしながら、岩田医師が書くように、医療的資源は有限です。
少し熱が出たからと言って病院に来られていては、本当に医療的ケアが必要な方に医療が提供できなくなるという可能性も否定できません。
「コンビニ受診」「たらいまわし」などといった表現にピンと来られる方もいらっしゃるかもしれません。
これらは実際に生じていた、日本の医療の限界を示すかのようなフレーズたちです。
日本の医療は、誰しもが手軽な価格で享受できる、世界中を見れば極めてまれなシステムです。こちらについては賛否両論ありますが、本当にすべての人が医療機関を受診するとなれば病院はキャパシティをにオーバーしそうな感覚は伝わりますでしょうか?
国のお金も持たないでしょう。この辺りが日本の医療従事者と日本の医療を支える財源に、徐々にボディーブローのように効いてくる可能性を秘めていた領域です。
だからこそ正しい情報が大切になる
この貴重な医療という資源をうまく配分していくことは、医療従事者の努力だけではどうにもなりません。
来院した患者を追い返すようなことは、基本的にどこの医療機関にとっても現実的ではありません。もしもそんなことをしてその人が重症化してしまえば責任をとれませんから。
だからこそ、このような際には患者側の正しい判断がとても重要となってきます。
しっかりと自分で、「病院に行くべきか、行かないべきか」を判断してもらう。
これは患者にもメリットがあります。
この理論がうまく働けば、病院に行くのは重症患者ばかり。
気軽な気持ちで軽症なのに来院してしまった場合、かえって重症な患者との接触を増やしてしまい、来院が体調悪化につながるという負のスパイラルに陥ることも否定はできません。
そのような事態を避けるためにも、その判断が正しいかどうかがとても重要になってきます。
ただ、その「正しい判断」を、どのように下せばいいのかがとても分かりにくい。
WHOや厚労省などがあたふたするくらいですから。良識的な判断を下すのなんてそんな簡単なことではありません。
だからこそ、医療従事者による善意なる情報発信は極めて重要であるわけです。
医療従事者は、目の前の患者を何とか助けようと、信頼できる情報源にあたり続け、日々治療に当たっています。
そんな人たちが、自分たちが得た情報を可能な限り咀嚼したうえで発信してくれるわけです。医学にあまりなじみのない方にとっては、これ以上の判断根拠、現時点では見出しにくいです。
ここにももちろん、正しい情報を取捨選択するという能力が必要になってきます。ただ、今回の議論のフォーカスからは外れますのでひとまずは置いておきます。
しかし残念なことに、現在、ネット上ではそのような貴重な情報を発信される方に対する逆風がこれ以上にないくらいに吹き荒れています。もはや嵐です。この結果としてどうなっているのかは、皆さんがご存知の通りかと思います。
残念なことに、今回の感染症流行は、だれか1人の力で止めることはできません。
そうなってくると、互いに協力し合いながら互いの身を守り合うことが、私たちにできる最善の策です。
そのための強力な武器が、最新の正しい情報になるわけです。
早くこの負のスパイラルから抜け出すためにも、そして何より、自らの身を守るためにも、1人1人が自覚を持って正しい判断をする努力ができる環境が構築されることを願ってやみません。
それが、この感染症の流行を乗り越える重要なカギだと私は思っています。
なんとかこのような情報発信を応援したいと思い、医師法まで掘ってみました( ^)o(^ )
ご興味のある方は次の記事へどうぞ!